漫画文化

2008年5月25日 (日)

高知で知的・創造的な学習・交流の場の創出を 6月27日(金)

4_2 西村 今月の「けんちゃんの今すぐ実行まちづくり」のゲストは、高知市横山隆一記念まんが館学芸員の奥田奈々美さんです。高知のまんが文化、横山隆一記念まんが館に関する事柄、学芸員としてトライしたいことなどお話をお聞きしたいと思います。

 今回のテーマは「 高知で知的・創造的な学習・交流の場の創出を」でお話をお聞きします。

 9月12日が締め切りで「第4回まんがの日記念4コマまんが大賞作品募集」について
お話下さい。一般の部は年齢制限がなく、プロ・アマを問わないそうですが・・
 かなりレベルの高い作品が応募してくるのではないのでしょうか?

奥田  11月3日の「まんがの日」を記念しまして「4コマまんが大賞」ということで、4コマまんがの募集をしています。今年で4回目の募集になりました。

 用紙はB4、作品は横10㎝×縦32㎝、1枚につき1点、一人3点まで。カラー可。
昨年は全都道府県から応募有。プロからの応募もありました。

 第1回では村岡マサヒロさん、矢野功さんが「よさこい賞」を受賞したりしました。
レベルは高いですが一般の人がプロに勝って受賞したりしています。是非トライしてください。

 ジュニア部門と一般部門に別れています。小学生以下がジュニア部門です。
ジュニア部門でも力をつけて常連となっている子もいます。
 応募作品は冬に「4コマまんが大賞作品展」で展示しています。

 一次審査を通過した作品は展示しています。本選で入賞に漏れても、入館者の投票で決める「ギャラリー賞」の可能性もあります。優れた作品が掘り起こされる可能性もあります。いろんな楽しみ方をしていただきたいと思います。

西村 高知で「知的・創造的な学習・交流の場の創出」を目標とするのであれば、マンパワーや予算も必要であると思います。理想論でいいですがどの程度のマンパワーと予算が必要であると思いますか?おかまいない範囲で説明してください。

 毎年11月に「まんさい」(こうちまんがフェスティバル)を開催しています。このイベントなどを成長させ、拡大していけば、「知的・創造的な学習・交流の場の創出」になるのではないのでしょうか?そのあたりの展望はどうなのでしょうか?

Photo_11(高知まんが集団似顔絵コーナー)

奥田 「まんさい」(こうちまんがフェスティバル)では、「まんがで遊ぼう!」(まんが体験コーナー)やまんが工房など、まんが家の先生と直接触れあったり、自分で描いたりできるイベントを開催しています。

 そのほかにも記念まんが館では夏休みまんが体験イベントであるとか、似顔絵コーナーでセミプロのまんが家の人達に似顔絵を描いていただくこともしています。

 そのほか、企画展に合わせて県外のまんが家の招聘、トークショーやサイン会など、プロと触れあえる企画を実施中です。プロと接する機会を活用いただきまして、どんどんとまんがを描く機会を活用していただきたいです。

 理想をいえば、「まんさい」のような体験型イベントや、似顔絵コーナーのようなものが、まんが館で"いつでも"体験できたり、まんが家を目指す人たち同士の交流の場・サロンのような形で使ってもらえるようになればよいと思っています。

西村 今一度お聞きしますが高知でなぜまんが家がたくさん輩出しているのでしょうか?高知でまんがが盛んなのか?基本的な質問ですがそのあたりはどうなのでしょうか?

奥田 そうですね。いろんな考え方があると思います。高知の県民性と言いますか。高知はもともと自由民権の土地柄で、反骨精神がよくいわれます。
 まんが、特に1コマまんがは風刺から始まっています。

 そういうところが高知県人とまんがの表現が合致したのではないかと思います。それでまんが家となって高知を出て行ったところを後輩が追いかける。
 
 また高知新聞のほうでまんが教室なんかの投稿コーナーがありました。高知マンガクラブの出身でプロになった方もいらっしゃいます。
 またまんがで活動するなかで高校でまんが部を創設したという高知出身のプロのまんが家で「自分が高校のまんが部をつくった」という人が結構います。

 そういう高校にまんが部があってまんがを描く環境が整えられていた。高校にまんが部やまんが研究会があるのはわたしも高知出身なので、あたりまえであると思っていました。

 県外で聞きましたら当たり前ではないそうです。まんが部がない高校も多いようです。高知の高校でまんが部があたりまえのように存在する風土が根付いていることが今につながっていると思っています。

Mangakoushienn20051 (高校生のまんが甲子園の風景。西村撮影)

Mangakoushien20052 (出場した高校はまんが部が主体でした。高知は普通にまんが部がありますが県外ではそうではないようです。写真は西村撮影)

西村 92年間の横山隆一さんの生涯を追体験することこそが、「 高知で知的・創造的な学習・交流の場の創出」になるのではないかと思います。

 これは横山隆一記念まんが館の最大活用になるではないかと思います。
。まんが館の一連の行事の中ではどうなのでしょうか?

奥田 隆一先生からは、まんがの技法はもちろんのこと、「人生を楽しむ」達人であったことを学んでほしいと思います。

 まんがだけでなく油彩画、水墨画、アニメなど、興味を持ったものすべてに挑戦する意気込がありました。
 それは珍コレクションや鉄道模型などのコレクションのほか、酒、ゴルフ、野球、カメラなど趣味も様々ありました。人生を楽しむ達人でもありました。

 鎌倉の隆一邸がまんが家同士が集う場であったのは、隆一先生の人柄あってこそ。
高知でもまんが館がその遺志を受け継ぎ、隆一邸の桜の接ぎ木をしてかるぽーとで育て、4月に「花見の宴」として高知のまんが関係者たちが集う場を設けています。

 「まんさい」のようなフェスティバルを企画しまして様々なイベントを楽しめるようなそういうところを。イベントの拠点となれるようなまんが館を利用していただきたいと考えています。

西村 「 高知で知的・創造的な学習・交流の場」は横山隆一記念まんが館であるということは良く理解できました。
 今後の行事の予定などありましたら、ご案内をよろしくお願いします。

奥田  企画展といたしまして7月19日から8月31日まで「所蔵展」を開催いたします。第2回目になります。
 「隆一はなこばこ」という企画です。「今 花・人・であい博」を高知県下で開催していますので、関連企画として隆一先生が描かれた油彩画で花をテーマにした作品を展示し来館者には楽しんでいただきます。

 まんが家が描く油彩画はどこかユーモラスで、楽しい気分がさせられる。そういう作品が多いので油彩画としてもまんがとしても楽しめるのではないでしょうか。こちらは入場無料になっています。ぜひご来館ください。

Okuda2_r (収録は多くの話題が話されました。)

 写真は奥田奈々美さんに提供いただきました。

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マンガを高知のメイン・カルチャーに 6月20日

西村  今月の「けんちゃんの今すぐ実行まちづくり」のゲストは、高知市横山隆一記念まんが館学芸員の奥田奈々美さんです。高知のまんが文化、横山隆一記念まんが館に関する事柄、学芸員としてトライしたいことなどお話をお聞きしたいと思います。

 今回のテーマは「まんがを高知のメイン・カルチャーに」でお話をお聞きします。高知は伝統の「まんが甲子園」や高知新聞社の「高新まんが道場」など、地方でありながらまんが文化の振興に高知県は熱心でありました。

 最近は全国各地に「まんが館」が開設されているように聞いています。「これは面白い」「参考になる」という事例はありますか?

Photo_7 (長谷川町子美術館)

奥田 そうですね。横山隆一記念まんが館の先輩館になるまんが館はたくさんあります。例えば東京にあります長谷川町子美術館(1985)。まんが館として開館したのではなく長谷川町子さんが収集された美術品を公開するためにできた美術館です。そこでも毎年夏に恒例サザエさん展を開催、まんがのほうもとりあげています。

 サザエさんの町のジオラマに自分の家を建てるとか。面白い企画継続してされています。

Photo_8 (川崎市民ミュージアム)

 また川崎市にあります川崎市市民ミュージアム(1988)は総合的な博物館です。…美術、歴史、写真等をあつかっています。そのなかの1部門でまんががあります。まんがの研究者の方と学芸員の方が組まれて非常に密度の濃い企画展を開催されています。

Photo_9 (手塚治虫記念館)

 また宝塚市にあります宝塚市立手塚治虫記念館(1994)ですとかは、手塚治虫と関連した企画展に特化して開催されています。宝塚ホテルとも連携されて企画展にあわせた特別メニューをつくったりとか。単に見せるだけではない広がりを企画されています。

西村  奥田さんは2004年に日本博物館協会から優れた博物館学の研究が評価され棚橋賞を受賞されています。当時の報道記事によりますと「近年急造するまんがに関する博物館の抱える問題と連携の可能性を取り上げられた。」とあります。

 論文を書かれた当時の狙い。またその後のまんが館で展示や資料の整理の活動を通じて感じられたことなどありましたら、おかまいない範囲でお話ください。

奥田 当時はまんが館同士の交流があまりありませんでした。当館で「知る・行く・遊ぶ ~日本全国まんが巡り展~」という企画展を開催しました。各施設に呼びかけて資料をいただきました。展示品をお借りしたりということから協力を得られたことがきっかけ
でした。

 全国のまんが館がどんな状況になっているのか?それを調べようと思いました。わたしが論文を書いたきっかけでした。

 まんがの経済的効果が強調される昨今です。調査の結果、地域への経済効果を期待しつつも同時に、「地域住民の文化的要求の充足」を意識している館が多かったです。
経済だけでなく文化を意識されていることを感じました。

 また同時にあちこち問題をかかえています。煩雑な資料の数々の整理方法や、管理面などにも、様々な問題を抱えているところが多いこともわかりました。
 今後連携を深め問題点を共有化し対処に当たりたいと思います。

 せっかく立ち上げた企画展が1館だけで終わってしまう。その地域の人だけにしかひろがらない。そういう問題点も見受けられましたので、連携していけばいいなと思いました。

西村 その後各地のまんが館同士の交流が盛んになり、展示品や資料の貸し借りや企画のやり取りとか盛んになったということでしょうか。

奥田 まだまだこれからのところもあります。今度当館で秋に開催予定の「少女まんがパワー!」は、川崎市民ミュージアムとか京都の国際マンガミュージアムとかの巡回展ということで協力しあっています。

 去年開催しました「横山隆一・手塚治虫展」も宝塚の手塚治虫記念館と連携して開催いたしました。
 大きい館同士の交流は昔も今も行っています。今後は小さい館も含めて連携していきたいと思っています。

 昨年10月、これら日本のマンガ・アニメーションミュージアム連絡協議会の設立準備会が開かれました。まずは情報交換から始めることで、連携を深め問題点の対処に当たりたいと思っています。

Photo_10 (横山隆一・手塚治虫2人展の様子)

西村 例えば家内の友人7人が集って雑談をしているのを聞いたことがあります。マンガのことが話題になって(うちの子供が高知新聞にマンガで取り上げられ記事になっていた)も7人のうち1人しか知らないようでした。
 まだまだまんがは話題にはなっていないようです。そう感じたりすることも多いようです。奥田さんはそのあたりはどう思われますか?

奥田 メジャーというのはメインカルチャーという意味でしょうか?

西村 美術とか芸術とかのほうがまんがよりは格が上で、まんがは一段下のように思われています。
 例えば今でも通勤電車の中で大人がまんがを読むことはいかがなものか。と眉をひそめるような論調があります。そのあたりはどうなんでしょうか?

奥田 個人的には美術がまんがより格上であるとか思っていません。まんがを知っている人が1人しかいないという事例にしても。同じ集団で美術の話題がわかるかと質問したらどうなったでしょうか。たぶん比率的には変わらないと思います。

 例えばフランスではまんがは「第9の芸術」と言われています。美術、音楽、文学とかと肩を並べています。同じように論じられています。

 むしろまんがをサブカルチャーという風にとらえられているのか。どうしてそう思われているのか。わたしは問いかけたいと思います。

西村 フランスではまんがは完全に音楽や美術、文学と同等の扱いになっているとか。具体的にどのようになっておりますか?

奥田 国立のまんが映像センターがあります。国がまんがを奨励しています。日本でも国立のまんが館こそありませんが、例えば横山隆一さんがまんが家として初めて文化功労者に選ばれていました。

 また日本漫画家協会がだしている賞のなかに文部科学大臣賞とかあります。国もまんがを奨励しているようです。文化と名の付くいろんなものもありますし、実際に顕彰し認めていこうという動きもあるなかで、なぜ、まんがが格下に見られれるのかわかりませんね。

西村 奥田さんの言われることもわかります。
 国がまんがを奨励するのであれば、国はもっとどんと予算を出すべきであると思います。顕彰するなりまんが家を育てるプロジェクトのほうを力を入れるとか。
 科学者を養成するのになにかをすることはありますね。まんが家を養成する為に予算を組んでプロジェクトを立ち上げたという話は聞きませんね。
 力の入れ方が日本は弱いように思います。

奥田 世界的なまんが賞が出来たりしています。その後どうなったのか。どういう動きがあるのかはこれから見守っていきたいと思います。
 まんがというものはそれぞれの書き手(まんが家)がそれぞれの力で育ってきたこともあります。

 たぶんそれに未だに頼っている状況であると思います。自分達の力でやり遂げてきたことこそが、まんがの持つ力の一つだと思いますので、国の手助けを必要とするかどうかは、また別の話かもしれません。。当館としては、頑張っているまんが家の皆様をできる限り応援していきたいと考えています。

西村 実際にまんがの活用で地域が元気になっているところはありますか?事例があればご紹介ください。

Ishimorisyoutaroukinenkan (石ノ森萬画館の学芸員。写真は川村公志さん提供)

奥田  例えば宮城県にある石ノ森萬画館(石ノ森章太郎氏を顕彰する施設)では、萬画館主催で市民参加のまんがイベントを開催しています。
 また、石巻駅から石ノ森萬画館までの1㎞にまんがモニュメント14体を設置しているほか、空き店舗のシャッター、壁面にまんがが描かれており、商店街を歩かせる工夫が凝らされています。

 人の流れを商店街につくるので商店街の活性化にまんがを使っているという事例になると思います。

 また鳥取県境港市では、「水木しげるロード」として、800メートルにわたり、商店街の歩道に妖怪のブロンズ像(86体)レリーフ等を配置しています。その終点に水木しげる記念館を設立。商店街の中にショップ「妖怪舎」もあり、商店街が観光客でにぎわっています。着ぐるみ達が街中を歩いてみたりとか地域が元気になるという成功事例も生まれています。

 高知もそうしていきたいなと思っています。

(川村公志さん提供以外の写真は奥田奈々美さんに提供いただきました。)

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